クルマの可能性を広げた
SUVのパイオニア
デビュー当初は新開発2.7Lディーゼルエンジンモデルのみの設定だったが、1987年よりV6 3Lガソリン車が、88年にはディーゼルターボもラインアップに加わった。アメリカでは「パスファインダー」として販売され、その名は現行モデルにも引き継がれている。
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30年近く前に生まれたとは思えないスマートなエクステリアは、日産デザインインターナショナル(現在の日産デザインアメリカ)が手がけた。
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スポーティな4本スポークステアリングが目を引く機能的なインストルメントパネル。ダッシュボード中央には傾斜計と高度計を装備する。
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上質でゆとりある室内空間。後席の居住性にも配慮し、上級グレードにはリクライニング機構付きスプリットシートやサイドアームレストを採用。
まっ先に目を奪われるのは、ボディサイドの造形だろう。三角形のウインドウや、力強い走りを予感させる前後のフェンダーライン。初代日産テラノは、それまでのRV(レクリエーショナル・ビークル)とは一線を画す、個性的で洗練されたデザインをまとって登場した。しかし、テラノの革新性はそれだけではない。オフロードユースに必要な機能とタウンユースでの快適な乗り味を、絶妙のさじ加減で併せもたせたところに新しさがあった。たとえば、足回りは新開発5リンクコイル式リヤサスペンションによってロングストロークを実現。また、発売後すぐに豊かなトルクをもつV型6気筒3Lエンジン車を追加設定し、卓越した悪路走破性と快適な乗り心地を両立した。
それもそのはず、「都市部の足として、気がねなく運転できる」という狙いが、開発時から織り込まれていたのだ。また室内に目を移せば、上質なトリム、モケット地のシートなど、快適性への配慮が見てとれる。
都会の街並みをスマートに駆け抜け、求めればオフロードドライブも気軽に楽しめる……。新感覚4WDを謳い、高い完成度をもって多芸多才なキャラクターが与えられたテラノは、こんにちのSUVの先駆者だったのである。
※本記事は2015年3月31日時点の情報を元に作成されております。