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    photograph by Seiji Tonomura

    日産の匠たち。 文:サトータケシ

    TAKUMI

    新堀 和彦

    パワートレイン開発本部 パワートレイン性能開発部 燃費動力性能適合開発グループ

    1982年に日産自動車へ入社。当時、工場とテストコースを併設していた村山工場で、車両実験を行う部署に配属される。以後、基本的には実験を担当してきたが、販売店に出向してお客さまと接したことも糧になっているという。
    現在は、栃木にある実験部にて日産車の性能と快適性をトータルで評価する立場にある。

    計測機器の数字より、五感のセンサーを重視する。

    新堀和彦は、エンジンとトランスミッションのフィーリングをチェックするテストドライバーだ。すべての日産車は、新堀の「OK」の下、開発の最終工程へ進む。言わば、お客さまにお出しする料理の味見をする役割。新堀が「甘すぎる」とか「塩が足りない」と言えば、もう一度つくり直すことになる。現代の車両開発は、もちろん数値を測りながら行う。けれども数値より大事なのが、新堀が肌で感じる官能評価だ。加速性能を例にとると、テストでは加速度や加速タイムなどの数値と、新堀が体感するフィーリングが計測される。ここでどんなにタイムが速くても、新堀が「お客さまが使いにくい」と判断すれば、セッティングを見直すことになる。

    この仕事を行うにあたって新堀が気をつけていることは、「常にお客さまの目線になって評価すること」だという。「たとえば日本よりもアメリカのほうが加速性能を求める傾向にあり、アクセルの踏み方も違います。お客さまが使うシーンを想像することが何より大事です」昨年は、1 カ月かけてインド各地を回った。クルマの使われ方とどんな性能が求められているかを、身体で覚えるためだ。気持ちのいい加速か、振動はないか、減速時に不安はないか。新堀は、今日も五感を研ぎ澄ましてコースに向かう。

    ※本記事は2013年5月23日時点の情報を元に作成されております。