独創性に満ちあふれた
ミニバンの先駆者。
居住性と多用途性にこだわりながら、それまでの乗用車のあり方にとらわれず新しい発想のもとに開発された。そのコンセプトは現在のミニバンに通じる。エンジンは1.5Lと1.8Lの2種類が搭載され、8人乗り3列シートと5人乗り2列シートを用意した。
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実際にフル乗車し、8人乗り3列シートの居住性や使い勝手を検証する開発段階でのひとこま。回転対座式2列目シートの向きを変えた状態だ。
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センターピラーレスのフルオープン構造は世界初。幅の広い収容物も容易に出し入れ可能だった。写真は、1985年1月のマイナーチェンジモデル。
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8人乗り3列シートは最後列の座席を折りたたみ、広いラゲッジルームを確保することも可能。フラットな低床による乗り降りのしやすさも魅力。
多くの人に愛されているセレナをはじめ、いまではとても身近な存在のミニバンだが、1982年8月に登場した初代プレーリーこそ、その元祖と称されるモデルだ。大人数で移動ができるクルマといえば、商用車から派生したワンボックスワゴンしかなかった。同様の利便性をもちながら乗用セダンのようなイメージでまとめられたプレーリーは、新しいジャンルを開拓する日産の意欲作だったのである。
そして、何より見る者を驚かせたのが使いやすさを追求するために盛り込まれた数々の斬新なアイデアだ。両側ともスライド式とした後席用ドアとセンターピラーレス構造を組み合わせることで、優れた乗降性と使い勝手のよさを実現。さらにフラットな低床により、運転席、助手席間の移動が容易になった。また広い室内空間には、フルフラット化や回転対座もできる8人乗り3列シート(JWシリーズ)を採用し、乗車人数に合わせて多彩なレイアウトが可能だった。さまざまな工夫を採り入れ、新しいクルマの使い方や楽しみ方を生み出す。プレーリーはそんな意欲にあふれ、その後のクルマづくりに大きな影響を与えた一台なのである。
※本記事は2015年8月29日時点の情報を元に作成されております。