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    日産の技術がつまった、電気自動車の完成形 「日産リーフ」が成し得た事例と進化

    • 移動可能な蓄電池としての活用。“いつも”と“もしも”の時をサポートするEV
    • EVが活かされた北アルプスのツーリズムを訪ねる。日産の電気自動車が、プレミアムな信州の一夜を演出する。
    • 家の電気をつくり、EVにためて、つかい、シェアする。もう始まっている、新しいエネルギーマネジメント
    • 企業・自治体の「日産リーフ」導入後の声。EVがなぜ必要で、どのように活用しているのか。
    • 「日産リーフe+」の潜在能力と強化されたコネクト EVの販売を先駆けてきた経験、シームレスな新サービス

    移動可能な蓄電池としての活用。“いつも”と“もしも”の時をサポートするEV

    EVを、“もしも”の災害時にも活用する
    動きが広がり始めている。
    推進の中心人物、大神希保に
    その活動について聞いた。

    電気自動車の「日産リーフ」から、
    電力供給が可能に。

    災害発生時の「日産リーフ」からの電力供給イメージ図

    EVならではの走りを楽しめることや経済性、環境に配慮しているという点だけでなく、「日産リーフ」にはバッテリーを活用した「走る蓄電池」としての役目にも注目が集まっている。その大きなきっかけとなったのは、2019年に起きた千葉県の台風被害の際に「日産リーフ」が貸与されたことだった。避難所や福祉施設などに、「日産リーフ」がパワー・ムーバーとともに配備され、扇風機や携帯電話充電などの電力を担ったのだ。

    自らだけでなくともに、EVを活かした助け合い。

    日産が「ブルー・スイッチ」という名前を掲げ、自治体やパートナーと連携し、災害対策やエネルギーマネジメント、あるいは過疎・観光・温暖化対策などの地域特有の課題を解決するために活動をしはじめたのは、2018年のことである。大神は次のように、その内容について説明する。
    「『ブルー・スイッチ』の活動をスタートさせる以前の東日本大震災などでも『日産リーフ』は、災害発生時から復旧まで奮闘しました。ガソリンの供給が混乱しているなかでの移動や運搬手段として活用していただいたのです。しかしながら、初動期の蓄電池として電力を供給することはできず、千葉県の災害で初めてその役割を果たせました。給電可能な容量について、実際にどのくらい可能なのかというと、たとえば62kWhのバッテリーを搭載した『日産リーフe+』であれば、災害対策本部の約4日分の電気をまかなえ、スマートフォンなら一度に6200台を充電できます」
    近年、自然災害が多発していることもあり、EVを災害対策として活用する取り組みは全国に広まっている。
    「日産自動車販売会社のEV試乗車を災害時に無償貸与する協定や、地域住民や企業が保有するEVを避難所へ参集させる『災害時協力登録車制度』といった“共助”も進めています。これで認知が広がり、お客さまにEVに乗り換えていただければ“自助”も実現していき、地域の防災力の向上が図れると考えています」
    日産は「ブルー・スイッチ」を通して、これからも災害に強い街づくりを推し進めていく。

    避難所、老人ホーム、
    保育園でも、給電を支援。

    災害発生時の「日産リーフ」使用時のイメージ画像

    災害で停電が起きた際、通信手段として欠かせなくなるのが携帯電話だろう。台風15号の直後、「日産リーフ」に加えて、日産のスタッフが充電コード50本を提供した。

    避難所、老人ホーム、
    保育園でも、給電を支援。

    災害発生時の「日産リーフ」使用時のイメージ画像

    公民館で給電を行った様子。日中のスマートフォン充電用に開放されただけでなく、照明点灯にも用いられた。明かりがなくなってしまったなか、安心感をもたらした。

    発電機と違い、
    音が出ない点も好評。

    保育園で「日産リーフ」を活用したイメージ画像

    保育園でも「日産リーフ」が電力を支援し、扇風機を稼働。現地で夜を迎えた被災者からは「燃料式の発電機と違い、音を出さない『日産リーフ』なら夜も静かで寝られやすそう」という声も上がっていた。

    「日産リーフ」を東京電力からの要請で派遣したイメージ画像

    「日産リーフ」は東京電力からの要請でも派遣した。現場で運転した東京電力の社員の方からは「はじめて乗る人が多かったのですが、操作性の良さは大評判でした」との感想があがった。

    KIHO OHGA

    大神希保

    日本事業広報渉外部
    担当部長(渉外)

    2011年度にゼロ・エミッション企画本部に配属後、EVの普及活動を主軸に、3年間務めた。2018年12月からは「ブルー・スイッチ」の渉外チームが立ち上がり、その活動で指揮を執る中心人物として携わっている。

    EVが活かされた北アルプスのツーリズムを訪ねる。日産の電気自動車が、プレミアムな信州の一夜を演出する。

    EVの特長は、
    走行中に排出ガスを出さないことはもちろん、
    移動型の蓄電池でもあることだ。
    それを活かすことで、
    美しい森のなかに新しい観光資源が生まれる。

    森の静けさや樹木の匂いを感じられる
    レストラン

    乗鞍 星と月のレストラン 信州の大自然に抱かれながら地元の食材を味わえる屋外レストラン。オープン期間は初夏から晩秋あたりまで。冬季は「のりくら 雪と氷のEVスナック」というプログラムが行われている。コンシェルジュや調理は、地元の住民が担当する。 パワー・ムーバー(EVを電源にするための装置)を介することで、100Vコンセントから電気を出力することができる。最大4500W(1500W×3口)の出力なのでさまざまな用途に対応。アウトドアレジャーの他に、停電時にも活躍する。

    EVは走らなくても
    環境保全に貢献する。

    長く真っ暗なワインディングロードをしばらく、クルマで走った先に、ちょっと不思議な光景が待っていた。大型のドーム型テントに明かりが灯り、白樺などが立ち並ぶ林がライトアップされている。しんと静まり返った空間に「日産リーフ」で向かい、目的地に到着すると、ボウタイをつけたコンシェルジュの方が「ようこそ、いらっしゃいました」と出迎えてくれた。

    EVがあるからこそ実現したコンセプト

    ここは「乗鞍 星と月のレストラン」。中部山岳国立公園の大自然に囲まれながら地元の食材を堪能できる、プレミアムな野外レストランだ。
    出迎えてくれたコンシェルジュの村瀬基行さんによれば、基本的にはこのエリアの周辺に宿泊しているお客さま向けのプログラムで、宿泊先とレストランの間をEVで送迎しているのだと言う。ただし、EVが活躍するのはそれだけではない。照明、IH調理器、冷蔵庫など、このレストランで使われる電力はすべてEVが給電しているのである。
    このレストランは、信州未来づくりカンパニーと一般社団法人である松本市アルプス山岳郷の共同事業。いずれも、観光を軸に地域の活性化を図る組織だ。そして日産は、この事業に14台のEVを貸与している。信州未来づくりカンパニーの代表を務める松嶋豪さんはこう話す。
    「『乗鞍 星と月のレストラン』がスタートしたのは2017年。当初から、食事や美しい景色だけでなく、森の静けさや樹木の匂いも感じていただきたいと考えていました。すると、石油を燃やす方式の発電機だと台無しです。EVがあるからこそ、このコンセプトが実現したと言えますね」
    確かに鼻で息を吸い込むと、森で生まれたばかりの空気のフレッシュな匂いを感じる。乾杯でグラスを合わせると、「カチン」という音が澄んだ空気のなかに響き渡った。

    EVを活用する「乗鞍 星と月のレストラン」のイメージ画像

    コンシェルジュの村瀬さんがおすすめの「グランポレール 安曇野池田 ヴィンヤード メルロー」のコルクを抜く。村瀬さんは乗鞍の雪に魅せられて、20年前にこの地でペンションを開業した。村瀬さんのようにもてなすことに長けたコンシェルジュが5名ほど在籍し、交代で対応する。

    EVを活用する「乗鞍 星と月のレストラン」のイメージ画像

    今回は「日産リーフ」が給電をお手伝い。「日産リーフ」なら、1台でひとつのテントをまかなえる。ただし電力消費が大きいIH調理器が複数稼働する“繁盛日”は、2台のEVで対応するという。
    村瀬さんは食事の用意をしながら、「真夏でも夜は20〜25℃ぐらいまで気温が下がるので、ブランケットが必要なんですよ」など、この土地を知り尽くした人ならではの話を聞かせてくれる。信州サーモンや信州牛、あるいはリンゴや野菜など、地元の食材を用いた料理で、信州を舌で満喫することができた。
    そして食事の後は屋外にリクライニングチェアを出して、満天の星を仰ぎ見る。環境への負荷が低いことはもちろんだが、EVはこんなに贅沢な夜を演出することができるのだ。

    EVを活用する「乗鞍 星と月のレストラン」のイメージ画像

    天候に恵まれれば、このようにテントのファスナーを開いて森と一体になって食事ができる。また雨の日も「とても静かなので、テントにあたる雨音にも風情を感じた」という声があったと言う。

    EVを活用する「乗鞍 星と月のレストラン」のタイムスケジュール
    星空のイメージ画像

    7月中旬〜8月下旬にぺルセウス座流星群、9月上旬〜11月中旬におうし座南流星群、10月上旬〜11月上旬にオリオン座流星群、10月中旬〜12月上旬にはおうし座北流星群が見られる。空が暗い新月の夜は星がきれいに見えるという。

    *実際にレストランで使用している車両は「e-NV200」です。

    料理家の堀知佐子さんが監修した献立のイメージ画像

    料理家の堀知佐子さんが監修した献立。調理は地元の方が担当する。彩り豊かな前菜は信州サーモンや地場の野菜を用いたもの。メインは「信州プレミアム牛のトマトすきしゃぶ鍋」で、この日のデザートはシャインマスカットのムースだった。

    家の電気をつくり、EVにためて、つかい、シェアする。もう始まっている、新しいエネルギーマネジメント

    EVを核とする、
    新しいエネルギーマネジメントについて紹介する。

    「ニッサン エナジー シェア」のイメージ画像

    日産が取り組んでいる「ニッサン インテリジェント モビリティ」は、クルマづくりに関わることだけを行うものではない。その一環に人とクルマと社会をつなげ、新しい価値を生み出すことも、目的として掲げられている。それを象徴するひとつと言えるのが、EVにためた電力の多目的利用を可能にする「ニッサン エナジー シェア」である。

    EVを活用した高効率な自宅の電力コントロール

    軸となるのは、「日産リーフ」のバッテリーに蓄えた電力を家で使う仕組み「Vehicle to Home(V2H)システム」。たとえば、オール電化住宅にお住まいの方であれば、電気料金が割安な夜間に「日産リーフ」に電力をためて、料金が高い昼間の時間帯にそれを家に供給するといった、効率のよい電力使用のコントロールができる。
    ちなみに一般家庭の電力使用量は、一日あたり約12kWhと言われ、一般的な定置型蓄電池よりも大容量な「日産リーフ」のバッテリー(40kWh、62kWh)を活用すれば、約2~4日間給電可能だ。
    また、太陽光発電設備をお持ちのご家庭では、卒FIT(FITとは、再生可能エネルギーでつくられた電力のうち、余剰電力を電力会社が10年間固定金額で買い取る制度)に役立ってくる。2009年から始まったFITの制度が2019年に満期を迎え、今後、売電価格が低下し、買う電気代が高くなることが想定される。その対策として考えられるのが蓄電池を用意し、発電した電気をためて、必要なときに自宅で利用することだ。そこで自家用車を移動手段であり、蓄電池にもなるEVに代えれば、電気料金が割安な夜間や発電の余剰で生まれた電力をEVの充電に利用でき、これまで支払っていたガソリン代も必要なくなってくる。

    NISSAN ENERGY SHARE ニッサンエナジーシェアの仕組みイメージ画像

    太陽光でつくった電気をEVにためて、家全体で使う。この図は、太陽光発電設備がある家と「日産リーフ」が可能にする電力の自給自足を表す。

    EVの電気は、家でも使える。「日産リーフe+(62kWh)」なら約4日間。

    大容量のバッテリーを搭載した「日産リーフ」は、生活に必要な家電の電力をまかなうことができる。以前に放映された、それを実証するCMでは、太陽光パネルでフル充電された「日産リーフe+」で給電した結果、実際に4日間暮らすことができた様子が収められた。照明やテレビ、携帯電話の充電から、ドライヤーや調理器具、洗濯機といった電力を大いに使う機器まで、普通に使える様子に驚いた視聴者も少なくないはずだ。「日産リーフ」を蓄電池として利用すれば、平時はもちろん、災害時も支えになるだろう。

    EVの台数が増えていけば、地域での電力シェアが可能に。

    「日産リーフ」にためた電気を活用すれば、地震や台風などの自然災害による停電で、外部からの電力供給がない緊急事態のときでも、非常用電源として使える。さらに、移動できるということは、ためた電力をほかの家やビルといった建物に給電すること、電力網に供給することも可能になる。EVの台数が増えれば、必然的に総蓄電可能容量が増え、家単体に留まらず、地域での効率的なエネルギーマネジメントが行えるようになるわけだ。
    日産はEVをいち早く販売してきたトップランナーである。だからこそ、こういったシステムの構築を成し遂げられたのである。

    企業・自治体の「日産リーフ」導入後の声。EVがなぜ必要で、どのように活用しているのか。

    近年、全国各地の企業・自治体で
    導入されている「日産リーフ」。
    オフィスビルで実験を行っているNTT西日本、
    シェアカーとして使用している沖縄県名護市、
    「安パト」としても利用している
    東京都練馬区の各担当者に、その意図を尋ねた。

    TAKATOSHI YANAGIHARA

    柳原孝俊

    NTT西日本ビジネスデザイン部
    ビジネスクリエーション部門
    新ビジネス開発担当
    担当課長

    社用車のEV化を進めていることも、実験の後押しとなっています。

    今回のトライアルを担当。NTT西日本は現在、全社をあげて社用車をEV化することを推し進めているそうで、意識の高さ、社会的な問題を解決しようという強い意志がうかがえる。「定置型蓄電池の導入コストはまだまだ高い。『日産リーフ』を導入すれば、そのハードルを下げることができるはずです」

    NTT西日本でスマートエネルギー実証実験を行なっている様子

    太陽光発電で得た電気をNTT西日本のビルで消費。日産のクラウドからEVの位置情報を検知した上で、その発電、電力使用の状況に応じ、NTT SMILE ENERGYのクラウドからEV、定置型蓄電池を遠隔制御(充放電)するというのが、トライアルの基本内容。

    トライアルイメージ図 地産地消型エネルギー社会の将来像

    「地産地消型エネルギー社会の将来像」の図は、NTT西日本のトライアルの仕組みが周辺の家庭や学校、店舗などに広まり、電力供給の輪ができた未来を想定したもの。また、「PV(Photovoltaic)」は太陽電池やそれと接続する周辺機器などのシステム、「PPA(Power Purchase Agreement)」「卒FIT」はほぼ同様の意味で、自家消費型太陽光発電を導入している家庭を指している。

    NTT西日本グループは、自社の強みであるICT(Information Communication Technology:情報通信技術)を活用し、社会課題の解決に向けて、エネルギーという観点からもチャレンジしている。特に大きな課題としているのは温暖化対策、再生可能エネルギーの普及。ただ、再生可能エネルギーは供給が不安定になるため、保存ができる蓄電池の導入が必須となる。そこで同社は日産とともに、「日産リーフ」と太陽光発電をパッケージ化した実験に取り組んでいる。舞台はNTT西日本 山口支店オフィスビル。そこで3台の「日産リーフ」を用いてピークカットを行う(使用電力が多い時間帯の電力をEVと太陽光発電で補うこと)というもので、約9%のエネルギーコスト削減が予想されている。中期的には、企業や自治体といった想定ユーザーのオフィスビルなどへのEV導入提案を進め、広域でモビリティ/エネルギーマネジメントを行い、エネルギーの地産地消という考え方をさらに普及させていきたいと言う。

    豊かな自然を大切にしたいから、EVのシェアをはじめました。
    KENJI MATSUDA
    KENJI MATSUDA

    松田健司

    沖縄県名護市
    地域政策部 部長

    沖縄北部の世界自然遺産登録が現実味を帯び、観光客の増加が期待される名護市で交通政策を指揮している。クルマ社会の沖縄にとって、交通渋滞の解消も課題となっていると言う。そういった意味でも、必要な時にだけ利用できるカーシェアリングに可能性を感じていると話す。「今後、EVのシェアを沖縄の生活に定着させたいと考えています」

    名護市役所のステーションにずらりと並ぶ「日産リーフ」の様子

    名護市役所のステーションにずらりと並ぶ「日産リーフ」。公用車として利用する職員からは「運転しやすく、長距離移動の負担がかなり減った」という感想があったそうだ。

    空港がある那覇市から北に70qほど離れた、観光地として知られる沖縄県名護市。多くの観光客は、レンタカーを利用して現地に赴くのだが、渋滞対策や環境保全の観点から、高速バスなどの公共交通やカーシェアの利用促進が課題となった。そこで利便性、環境性を考慮し、平日は名護市の職員、休日は一般の方々に利用してもらう公用車兼シェアカーとして「日産リーフ」を使用している。公用車としてのEVをカーシェアリングすることは全国初の試みだ。やんばる国立公園など、沖縄本島北部には豊かな自然がある。走行中にCO2を排出しないEVのカーシェアが広まれば、環境保全にも寄与するだろう。

    キリッとしたヘッドライトは見守りの目として最適です。
    AKIHISA HOSHINO
    AKIHISA HOSHINO

    星野明久

    東京都練馬区
    環境部 環境課長

    練馬区の環境保全推進を担う人物。練馬区では小学生に安パトに同乗してもらい防犯の呼び掛けをしたり、イベントで給電のデモンストレーションを行うなど、EVの可能性を周知するための活動を積極的に行っている。「災害時にEVが緊急電源としても活用できることを知った方々から、驚きの声が多くあがりました」

    災害時のエネルギー確保のために、EV活用の方針を打ち出している東京都練馬区。EVの電気を家庭用電源に変換するのに必要な外部給電器(V2L:EVの電気を家庭用電源に変換するもの)を10台導入しているほか、避難拠点(区立小中学校など)で区民や事業者の方が所有するEVを緊急電源として使用する登録ボランティア制度「災害時協力登録車制度」を全国に先駆けて設けるなど、区全体でさまざまな対策に取り組む。なかでもユニークなのは7台の「日産リーフ」を、「安全・安心パトロールカー(安パト)」として導入している点。夜間含め、長時間運転するパトロール隊員からは静粛性も好評なのだという。

    日産リーフ」を「安全・安心パトロールカー」として導入している様子

    「日産リーフ」の安パトは区内巡回パトロールをはじめ、日中は防犯の呼びかけをするなど、24時間365日運行しているという。走行距離は年間約2万8,000qにも及ぶ。

    「日産リーフe+」の潜在能力と強化されたコネクト EVの販売を先駆けてきた経験、シームレスな新サービス

    より新しくなった「日産リーフ」は
    EVとしての性能向上に加え、
    最新のサービスも搭載し、
    人の生活に密接した存在となった。
    日本EV事業部 部長の小川隼平に
    現在までを振り返ってもらった。

    日産の技術がつまった、電気自動車の完成形。NISSAN LEAF

    航続距離を格段に延ばした「日産リーフ e+」の登場で、ロングドライブへのゆとりと楽しさをもたらした「日産リーフ」。そして2019年12月、「つながるクルマ」として、通信やインターネットを通じてカーライフや暮らしを豊かにする進化したNissan Connectサービスを携えた。プロパイロットをはじめとする先進運転支援技術も進歩。暮らしに必要なパートナーとなった。

    初代が発表されてから約10年が経ち、「日産リーフ」は大きく進化を遂げた。「10年間で日産が培ってきた技術や、得ることのできた知識は、何ものにも代え難い財産となっています」。小川はそう胸を張る。進化させるにはまず、最大航続距離向上が外せなかった。初代の200q(JC08モード)という数値から、現在ラインアップしている「日産リーフ e+」グレードでは、その2倍以上となる570q(JC08モード、WLTCモードでは458q)という発展を遂げている。
    「初代『日産リーフ』開発当時、多くのドライバーは一度に走る距離が100q以下というデータがありました。初代はドライバーの方々の工夫もあり、主にシティコミューターとして活躍する一方、遠出の際は道中での充電を必要としていました。そのイメージが未だに続いているのかもしれませんが、今となってはバッテリー内の電気の容量が低下するより前に、ドライバーの方が疲れてしまい、休憩をとりたくなるくらいの距離を走ることができます」
    「日産リーフ e+」はこれまでで最大の62kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しているが、それには技術的なチャレンジを要した。
    「過度なスペース増を防ぐために、バッテリーパックのサイズアップは最小限に抑めながら内部構造を見直し、より多くのバッテリーセルが搭載できるよう改良をする必要がありました。それを可能にしたのが、EVを先駆けて市場投入してきた経験だと思います」
    「バッテリーパックのサイズアップを最小限に留めた」ことの恩恵は、航続距離の延長に留まらない。40kWhバッテリー搭載車と同じ室内空間や荷物の積載スペースを確保できたことも特筆すべき点だと言える。

    EVを活用した高効率な自宅の電力コントロール

    この度の進化で見逃せないのが、シームレスなパーソナルサービスだ。
    「ヒトの移動を阻害することなく、自然にサポートするという点が今回の進化のポイント。たとえば、スマホで目的地を検索し、『日産リーフ』に乗ったらスマートフォンとナビゲーションがシームレスに連携して目的地へ誘導する『ドアtoドアナビ EV』が搭載されました。肌身離さずに持ち歩くデバイスで、クルマの機能を使いこなせること、これを体験してしまうと、元には戻れなくなりますね。そのほかにもナビゲーションの画面が拡大し操作性が向上するなど、ヒトとクルマをつなぐインターフェースやソフトが大きな進化を遂げています」
    そう言って、笑みをたたえる小川には、日産の魂が込められた新型「日産リーフ」を届けられることに、心から満足している様子がうかがえた。

    新採用の9インチナビゲーション(左)は、エアコンのタイマー設定、充電スポットの検索などに加えて、HDMI端子によるエンターテインメントへの対応力も向上。スマートフォンと「日産リーフ」を連携させるNissanConnect EVアプリの機能も豊富だ。特に注目なのは、充電プランを織り込んだルートをアプリが作成しカーナビへデータ送信、降車後は目的地までスマホが道案内する「ドアtoドアナビ EV」。出発から到着までシームレスに行ける。
    JUNPEI OGAWA

    小川隼平

    日本EV事業部
    部長

    エンジン用材料開発、EV・安全技術広報、小型商用車の経営企画、英国での法人営業などを経て、2019年に日本EV事業部の部長に就任。元々、技術者だったということもあり、
    「日産リーフ」の魅力をエンジニアリングという側面から語ることができる稀有な人物である。

    • 移動可能な蓄電池としての活用。“いつも”と“もしも”の時をサポートするEV
    • EVが活かされた北アルプスのツーリズムを訪ねる。日産の電気自動車が、プレミアムな信州の一夜を演出する。
    • 家の電気をつくり、EVにためて、つかい、シェアする。もう始まっている、新しいエネルギーマネジメント
    • 企業・自治体の「日産リーフ」導入後の声。EVがなぜ必要で、どのように活用しているのか。
    • 「日産リーフe+」の潜在能力と強化されたコネクト EVの販売を先駆けてきた経験、シームレスな新サービス

    ※本記事は2019年12月5日時点の情報を元に作成されております。