第一CAE 実験技術開発本部 車両実験部 制動性能実験グループ
1998年に入社。シャシーやブレーキ部品を設計する部署に配属される。10年ほどで実験の部署へ移り、ブレーキのテストを担当する。図面や数値で考える設計者と、運転した感覚を重んじる評価ドライバーの両方の目線をもっている。
写真のスカイラインのほか、フーガやリーフなど回生ブレーキ全般を統括する立場にある。
テクノロジーが進化するほど、人間の感性が重要になる。
最先端のブレーキの役割は、クルマを止めるだけではない。モーターを使い、減速する時のエネルギーを電気に換えてバッテリーに蓄えるのだ。このブレーキを回生ブレーキと呼ぶ。回生ブレーキと従来からの摩擦で減速するブレーキ、それぞれの止める力をバランスよくミックスさっせることが重要な仕事だ。
「ドライバーに複雑な仕組みだと気づかれないことが大事。いつも通り、思い通りにクルマを止める自然なブレーキが目標です」
鈴木と評価ドライバーたちは、計測器を積んだ車両でテストを重ねる。そして計測データの数値と、自分たちが感じたフィーリングを照らし合わせて、理想のブレーキを目指す。たとえば評価ドライバーが「もう少し滑らかさがほしい」と鈴木に伝えると、彼の頭の中には何通りかの解決策が浮かぶという。
「”滑らか”という言葉では、滑らかなブレーキを設計することはできません。”滑らか”という感覚を図面や数値に置き換えられるように設計担当者に伝える”翻訳”が私の役目です」
計測器のデータと、鈴木や評価ドライバーの感覚が食い違うこともある。そんな時、鈴木は人間の感覚を優先するという。「計測器のデータより、人間の感性が集める情報の方が多いから」というのがその理由だ。メカニズムやシステムが複雑になればなるほど、それを評価する人間の感性が重要になるのだ。
※本記事は2015年3月31日時点の情報を元に作成されております。