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    日産の匠たち。 文:サトータケシ photograph by Seiji Tonomura 日産の匠たち。 文:サトータケシ photograph by Seiji Tonomura

    TAKUMI 岩本秀男 Hideo Iwamoto TAKUMI 岩本秀男 Hideo Iwamoto EV・HEV技術開発本部 EV・HEVコンポーネント開発部 制御技術開発グループ

    1978年に日産自動車へ入社。中央研究所(現在の総合研究所)の電子研究所に配属され、電子制御技術に取り組む。後輪を操舵するシャシー技術HICASやステアリング操作を電気信号で伝えるステアバイワイヤなど、先進的な電子制御技術に携わり、日産自動車の電子モノづくりテクニカルマイスターに認定された。

    絹のように滑らかな加速は、繊細なセンスから生まれた。 絹のように滑らかな加速は、繊細なセンスから生まれた。

    岩本秀男が担当する電子制御技術とは、いわゆるクルマの味付けを決める仕事である。たとえば岩本は、モーターをはじめとする日産リーフのパワートレインの制御を手がけた。
    「EV(電気自動車)の魅力は、アクセルを踏んだ瞬間に加速するレスポンスのよさと、スムーズなフィーリングです。この楽しさを味わっていただくための制御に取り組みました」
    アクセルを踏んだ時にどれくらい加速すれば、人は楽しいと感じるのか。振動のない加速を実現するにはどうすればいいのか。岩本のさじ加減で、絹のように滑らかだと評された日産リーフの「走りの味」が決まったのだ。岩本が秀でているのは、自分で制御のチューニングを変えられること

    だ。評価をするドライバーとエンジニアという二役を、一人でこなす。
    「制御を変えるというのは、現場の作業としてはプログラムする数式を変えることです。クルマをこう動かしたい、と思った時に、あの数式を変えればうまくいきそうだと頭に浮かびます」
    日産リーフの開発にあたっては、乗って3秒で加速の違いがわかることを目標にしたという。
    「実際には、乗って1 秒でわかります」と岩本は笑う。クルマの動きを数式に置き換えられるという類いまれなセンスから、驚くべき日産リーフの加速が生まれたのだ。

    ※本記事は2016年4月1日時点の情報を元に作成されております。