災害を経験し、いま建築界ではエネルギーの供給システムが再注目されていると語る吉村靖孝さん。
「発電所でつくったものを各家庭に分配する、集中生産&管理がこれまでの通例。しかし、これには一度災害が起こると広範囲に影響が及ぶリスクがあります。地球や建物単位で個別にエネルギーをつくるオフグリッドシステム(送電系統とつながっていない電力システム)は、建築を大きく変える可能性を秘めている」
蓄電した電力を家庭用として給電できる電気自動車は、オフグリッドシステムのひとつにも転用可能。住宅とクルマを同じレベルで考えれば、さらに夢は広がる。
「たとえば将来、クルマで住宅の内部を移動することだって不可能ではありません。エレベーターは高価ですが、住宅と合わせて車庫のデザインを再考すれば、クルマがその代わりを務めてくれる」
エネルギーと人、そしてモノの関係を対等に捉えれば、住宅だけでなく道路や都市のあり方に大きなパラダイムシフトが起こると吉村さんは未来図を思い描く。
元倉庫の面影を残しつつ、園児が走り回れるように考えた「フクマスべース/福増幼稚園新館」。
筒状の空間を束ね、眺望とプライバシーを両立させたリゾート施設「Nowhere but Sajima」。
1972年生まれ。97年早稲田大学大学院在学中に、オランダの建築事務所MVRDVに在籍。2005年吉村靖孝建築設計事務所を設立。
代表作に「Nowhere but Sajima」「中川政七商店新社屋」など。13年より明治大学特任教授も務める。
いまプロダクトデザインに求められているのは、造形力だけではない。製造プロセスや素材など、ものづくりの背景を掘り下げ、いかにていねいにデザインしていくかが重要だと柴田文江さんはいう。
「人がつくるものは、最終的に人へと返るもの。デザインは目に映る美しさに重きを置いてきましたが、これからは人の五感すべてに訴えかけるように、しっかりと表現を紡いでいくことが必要だと思います」
全体の状況を考え、人々の暮らしのなかに自然に溶け込ませることが、現代のプロダクトデザインにおいて、とても重要な部分。それはトレンドに左右されない普遍的な美しさをもつ、使い勝手のよい道具のようでもあるという。
「人間とは敏感で、瞬時にそれが自分に合っているかを判断します。そんな肌感覚を意識できれば、既成概念を超え、多様な分野を横断するモノが生まれるはず」
「進化を重ねていく電気自動車には、ポテンシャルを大きく感じている」と、柴田さんは期待を寄せる。
暮らしに馴染む自然な佇まいを追求し、不要な要素を削いだ無印良品の「ヘルスメーター」。
単機能&高性能なカプセルホテルの新しいあり方を実現した「9h(ナインアワーズ)」。
1990年武蔵野美術大学を卒業。東芝デザインセンターを経て94年Design Studio Sを設立。家電から日用品、医療機器などインダストリアルデザインを軸に幅広い領域で活動。
代表作に無印良品「体にフィットするソファ」、カプセルホテル「9h(ナインアワーズ)」など。
2004年入社。開発部門で車載電子電装部品の開発に従事。その後、商品企画部門へ異動。小型車からスポーツカーまでさまざまな車種を担当し、世界160カ国以上の市場をカバーする。現在、電気自動車の商品企画責任者(Chief Product Specialist)を担当。
建築とプロダクトデザイン、それぞれの専門家の目に、新型日産リーフはどんなポテンシャルを秘めているものとして映るのか。新型日産リーフの開発を担当した日産自動車のチーフ・プロダクト・スペシャリスト、福田真人を交え、三者が意見を重ねた。
* JC08モード一充電走行距離(国土交通省審査値)は定められた試験条件での値です。お客さまの使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)、整備状況(タイヤの空気圧等)に応じて値は異なります。
※本特集に掲載の情報は、一部最終仕様と異なる場合があります。
※本記事は2017年8月4日時点の情報を元に作成されております。