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    INNOVATIVE DESIGN 03 日産の技術を体現する、日産ブランドのデザイン INNOVATIVE DESIGN 03 日産の技術を体現する、日産ブランドのデザイン

    明確なコンセプトと、
    自由な発想が生み出すデザイン

    「今後、デザインに求められるのは、クルマのコンセプトや技術の方向性に寄り添った表現でブランドをアピールすること」。
    日産のエグゼクティブ・デザイン・ダイレクターである田井悟が語る。

    ひと目見ただけで日産のクルマだとわかるエクステリアデザインのアイデンティティ。それは、フロントフェイスに与えられたVモーショングリル、ブーメランシグネチャーのヘッドランプとテールランプ、ピラーの処理によって屋根が浮いたように見えるフローティングルーフといった、現在展開している多くの日産車に共通するデザインに表れている。しかし、電動化と自動運転化が急激な進歩を遂げ、自動車そのものの大変革期を迎える今後、そのアイデンティティの考え方も大きく変わっていくだろうと田井は話す。

    田井悟Satoru Tai

    グローバルデザイン本部
    エグゼクティブ・デザイン・ダイレクター

    日産リーフに加え、2015年東京モーターショー出展Nissan IDS Concept、TEATRO for DAYZ、2017年東京モーターショー出展Nissan IMxといったコンセプトカーも手がける。日産ブランドの全車種のデザインを統括・指揮する。

    モータードライブによる
    コンセプトや技術の方向性に
    寄り添うデザイン

    「多くのメーカーが、電気自動車を手がける現在、電気自動車をつくれば特別な存在となり、他社と差別化できるという時代ではなくなりました。日産は他社に先駆け、この分野を牽引してきた存在ですから、どこよりも新しいものをつくり続けなければならない。そのために今後は、アイデンティティという名のルールに縛られ過ぎず、いきいきとした自由な発想でデザインすることをアイデンティティとする必要があると考えています」

    田井は近い将来、日産の“ワクワク”が加速していく予感を匂わせながらも、その前段階として日産リーフをデザインすることは不可欠だったという。
    「ガソリン車のデザインは動物や筋肉などをモチーフにし、強さや猛々しさを表現することが多かった。それに対して日産リーフは有機的な面をあえて用いず、直線基調のシャープでダイナミックなデザインとし、電気自動車のクリーンなイメージを表現しています。このデザインを通してお客さまに伝えたかったのは、一見普通のクルマに見えて、乗ってみるとまったく異なる、新感覚なクルマが当たり前に存在する時代が来たということ。クルマ一台一台のコンセプト、技術の方向性に寄り添ったデザインが、これからの日産の主流となっていくでしょう」

    未来のクルマはもしかしたらステアリングがなくなるかもしれない。「そうなると、クルマの中は徐々に家の中に近づいていくのではないか」と田井は語る。

    日産は時代を見つめ続け、その時々に相応しいアイコニックなクルマを残してきたパワーとチャレンジスピリットをもつ。変化を恐れずに前に進むことこそが日産の本当のアイデンティティなのだ。

    日産リーフのデザインスケッチ。直線によってボディフォルムが構成されている。エンジン車のグリルは外気を取り入れ、内部を冷却する通気口としての役目をもつが、電気自動車である日産リーフにその機能は不要。しかし、なくしてしまえば従来のクルマらしさが失われる。そこで硝子切子をイメージしたパターンのグリルをはめ込み、あえて空気を“吸わなくていい”デザインを施した。

    ※本記事は2019年4月8日時点の情報を元に作成されております。