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    1989年に日産へ入社、現在と同じ検査部門に配属される。
    初めて担当したのはブルーバードだったとか。現在は、欧米の工場で新型車の生産が始まる時に、半年ほど単身で出張して完成検査のノウハウを伝える。「検査ひと筋です」と笑う大田原が、世界中の日産車の品質向上に目を光らせているのだ。

    日産人の誇り 日産人の誇り

    大田原輝夫 Teruo Otawara 大田原輝夫 Teruo Otawara 追浜工場
    品質保証部 品質保証課 係長

    数値に表れない違いを五感で感じとる、繊細な感性。 数値に表れない違いを五感で感じとる、繊細な感性。

     ローラー台に載った日産ノートが、時速100km以上の高速で走る――。これは完成検査と呼ばれる工程の一部。エンジン、ブレーキ、塗装が完璧に仕上がっているのかを検査するのが大田原輝夫の仕事だ。大田原は官能評価と呼ばれる分野で、数値ではなく感性で評価を行う。塗装にムラはないか。エンジンやブレーキの感触におかしなところはないか。わずかな不具合も見逃さないように感性を研ぎ澄ます。
    「とある車種のエンジンの検査をしていた時に、加速にわずかなもたつきを感じたことがあります。機器で計測しても数字には表れないけれど、違和感があることは間違いない。そこで同型車と同条件で比較すると、データ

    にほんのわずかな波形の違いが認められ、部品のごく小さな不具合が見つかったんです」
     違和感に気付いた理由を大田原はこう語る。
    「毎日、数百台のクルマを検査していますから、子どもの体調変化に親が気付くのと一緒です」
     その能力が認められ、大田原は海外の工場へ出向いて全数検査の指導を行うほか、その技能を若手に継承する役割も担う。
     塗装の検査工程。ゼブラ灯と呼ばれる照明の下で大田原は日産ノートに手をあてて、塗装に問題がないかを確認する。確かに、我が子の額に手をあてて熱を測る、親の姿のように見えた。

    文:サトータケシ
    photograph by Seiji Tonomura

    ※本記事は2017年3月31日時点の情報を元に作成されております。