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    日産自動車へ入社後、カムシャフトの鋳造工場に配属される。当時の生産車で印象的なのは、「ケンメリ」の愛称で親しまれた4代目のスカイラインだ。いくつかの鋳造工程や販売店への出向を経験した後、2004年にカムシャフトの鋳造工場の係長に就任。さまざまな改善を実現したことにより、17年に現代の名工に認められ、18年に黄綬褒章*1を受章。

    *1 業務に精励し、他の人の模範となる者に授与される褒章。

    日産人の誇り 日産人の誇り

    出頭光好 Mitsuyoshi Shuttou 栃木工場
    第二製造部 第一鋳造課

    絶対に諦めない、
    鋳造工場伝統のチャレンジ魂。

    エンジンの主要部品のひとつがカムシャフト*2。砂と樹脂で製造された鋳型(砂型)に溶かした金属(溶湯)を流し込む、鋳造という方法でつくられる。出頭光好はカムシャフトの鋳造工場の生産能力を30%も向上させた功績により「現代の名工」に認められ、黄綬褒章も受章した技能者だ。

    2003年、グローバル生産台数の増加に伴い、ひとつの砂型で鋳造するカムシャフトの数を5本から10本に増やす案が出た。出頭が“10本取り”への挑戦を振り返る。「10本だと不良率が高く、全体の約2割でカムシャフトに砂が付着する焼きつき不良が起きました」

    原因を探る過程で、かつて出頭の先輩が考案し、自分流に進化させたテスト方法を思い出す。

    「まず溶湯の流れを確認するため、中身が見えるよう改良した砂型に、入浴剤で色をつけた水を流し、原因を探る実験をはじめました。そこで、不具合の原因が砂型内部で発生するガスにあることがわかりました。改善するにはガス抜きが不可欠です。あらゆる車種のカムシャフトに対応するガス抜き穴の位置や径、砂型の傾斜を繰り返し検証し、6カ月かけて改善しました」

    この手法は特許を取り、それに刺激を受けた鋳造工場のスタッフもトライアル&エラーに挑むようになったという。出頭は工場の効率化とともに、チャレンジ魂の継承も成し遂げたのだ。

    *2 回転しながら吸気や排気のバルブを開閉するエンジンの主要部品。

    文:サトータケシ
    photograph by Seiji Tonomura

    ※本記事は2019年4月8日時点の情報を元に作成されております。