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    学生時代は自動車部で活躍し、日産シルビアで腕を磨く。エンジニアとして実験にも参加したいという希望が通り、ブレーキによるシャシー制御や操縦安定性といった幅広い運動性能にかかわる仕事に携わる。ダイレクトアダプティブステアリングやe-Pedalなどの電子制御技術や日産GT-Rなどの高性能車を手がけた後、ドライビングシミュレータを担当する。

    日産人の誇り 日産人の誇り

    磯野洋一 磯野洋一 カスタマーパフォーマンス&CAE・実験技術開発本部
    カスタマーパフォーマンス&実験技術部 バーチャル実験技術開発グループ 主担

    バーチャル空間を走るクルマに、
    “魂”を吹き込む。

    室内プールほどの空間に縦45m、横15mのレールが敷かれ、そこでドライビングシミュレータが縦横無尽に移動する。その運転感覚を実車に近づける役割を担う磯野洋一は「クルマは複雑になっていますが、シミュレータがあれば実験車両が完成する前から効率的に開発を進められます」と、その必要性を語る。

    磯野はエンジニアではあるのだが、高度な運転スキルをもつA1ドライバーのライセンス保持者でもあり世界中のコースを走った経験をもシミュレータに落とし込めるのだ。

    「データも大事なのですが、ハンドルの手応えや切った時の横Gなどのフィーリングのすべてを数値では表現できません。シミュレータ操縦で得た感覚と、実車走行の差を各部品・部位ごとに、どのような調整をすればよいか明確に指摘し、落とし込むことで、リアルな操縦感覚に近づけています」

    磯野の尽力で、社内でも評判は高まり、熟練のテストドライバーも納得するほど、その操縦感覚は本物のクルマに近づいた。

    「パイロンを立てて行うスラローム走行をプログラムに入れ、わずかなサスペンション特性の差の評価もしています。今やタイヤを鳴らすぐらいまで追い込めるんです」と語る磯野の目は未来に向いている。仕上がったシミュレータによるテストを経て、未来のクルマは生まれるのだから。

    文:サトータケシ
    photograph by Seiji Tonomura

    ※本記事は2019年12月5日時点の情報を元に作成されております。