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SKYLINE HERITAGE 歴代のスカイラインを、カタチとテクノロジーでひもときます。

1957年のデビュー以来、半世紀以上にわたってその名を歴史に刻んできたスカイライン。走りの楽しさと優れた実用性を兼ね備えたモデルとして高い評価を得てきたのは、常に新しい技術を採り入れ進化を続けてきたからにほかならない。同様にそのデザインは、美しさと斬新さで見る者を惹きつけてきた。それでは歴代12モデルはどのような個性に彩られ、魅力をたたえていたのか? 「カタチ」と「テクノロジー」の2面から解き明かしてみることにしよう。

初代(ALSI系)

19574月〜

時代をリードした先進性が光る
高性能セダン

東京・日比谷の宝塚劇場で発表会を開催、デビューを飾った初代スカイライン。搭載された1.5Lの直列4気筒エンジンは60馬力を発揮し、サスペンションをはじめとするメカニズムも画期的。トップスピードは当時の国産車では最も速い125km/hを記録するなど性能も優れていた。

世界に目を向け、
いち早く「デザイン」を輸入。

1960年のトリノショーで発表されたスカイライン・スポーツは、グロリアのメカニズムを用いながら、イタリアのカロッツェリア(主にクルマのデザインを手がける会社)のひとつ、ミケロッティによる流麗なスタイリングが注目を集めた。これをきっかけに、世界の最先端デザインが日本車へ積極的に採り入れられるようになる。2ドアクーペのほかコンバーチブルも用意。

まるでスポーツカーのような
サスペンション。

スポーツカーなど一部の高性能車に用いられていたド・ディオン・アクスルを、国産乗用車で初めてリヤサスペンションに採用。さらにフロントはダブル・ウィッシュボーン式として、操縦安定性と快適性を高いレベルで両立させた。セダンでありながら高性能、そして運転する楽しさをも追求する姿勢は、その後のスカイライン各車にも受け継がれていく。

2代目(S50系)

19639月〜

レースでの活躍によって、
高性能を印象づけた。

洗練されたデザインが特徴となる2代目モデル。モノコック構造を採用したボディは、セダンのほかステーションワゴンも設定し、エンジンは1.5L直4のほか、2.0L直6も搭載された。第2回日本GPではポルシェ904GTSと優勝を争い、「羊の皮を着た狼」の称号が与えられた。

ロングノーズ・ショートデッキは
このクルマから。

直線的で軽快感のあるデザインを採用し、新時代を予感させた2代目スカイライン。中でも1965年に追加された高性能モデル2000GT-Bは、直列6気筒SOHCエンジンを搭載するためエンジンルームを延長。これによってフロントセクションが伸びやかなプロポーションを得て、「ロングノーズ・ショートデッキ」というデザイントレンドを生んだ。

新技術の採用とともに、
耐久性を大幅に向上。

モータリゼーションの急速な発展にあわせ、クルマはより身近で、手軽な移動手段となるべきという考えのもと、メンテナンスフリー化を推し進めた。エンジンには、分解してこまめに整備する必要性がないことを強調するため、封印したことを示すシールが貼られたほか、サスペンション各部のノングリースアップ化も行われた。

3代目(C10型)

19687月〜

「愛のスカイライン」は
サーキットでも脚光を浴びる。

「ハコスカ」の愛称で親しまれた3代目は、スポーツ性と快適性を兼ね備えたグランツーリズモへと進化を遂げた。エンジンも1.5L直4から2.0L直6まで幅広い仕様をラインアップ。高性能モデルである2000GT-Rはレースでも大活躍し、通算50勝を超える記録を打ち立てた。

サーフィンラインで
ボディサイドを華やかに飾る。

角張ったスタイルからのちにハコスカと呼ばれたが、3代目スカイラインの細部にはこだわりのディテールが数多く盛り込まれている。中でもボディサイドにあしらわれた「サーフィンライン」が印象的。フロントから貫くものと、リヤホイールアーチ手前から後部へと流れるふたつのラインを組み合わせているのが大きな特徴で、その後のモデルにも受け継がれた。

GT-Rはレーシングカー譲りの
高性能エンジンを搭載。

「愛のスカイライン」のキャッチフレーズで若者へスマートに訴求する一方、1969年には高性能モデル「2000GT-R」が登場。搭載されたS20型ユニットは、プロトタイプレーシングカーの日産R380用のエンジンをもとに開発され、直列6気筒DOHC 4バルブという当時としては最先端のスペックを誇った。2Lの排気量から160馬力を発揮し、2代目GT-Rにも採用された。

4代目(C110系)

19729月〜

巧みな広告戦略で、
一大ブームを巻き起こす。

「ケンとメリーのスカイライン」のキャッチフレーズとともに人気が沸騰し、社会現象ともなった4代目。2.0L直6を筆頭に、用意された各エンジンは高性能化と排出ガスの低公害化を両立。端正なスタイルも幅広い世代から支持を集め、累計販売台数はシリーズ最大の66万台を達成した。

4灯式丸型テールランプは
ケンメリに始まる。

より豪華に、ひと回り大きくなった4代目は、サーフィンラインを継承するなど前モデルの面影を残しつつ、よりスタイリッシュに変身した。デザインにおける最大のトピックは、4灯式丸型テールランプを採用したこと。ジェット機の噴射口をイメージした意匠にまとめられており、スカイラインのアイデンティティとして10代目モデルまで受け継がれていく。

インジェクションエンジンで
排ガス規制に対応。

'70年代に入ると環境問題がクローズアップされ、自動車の開発においても燃費向上と排ガス対策は避けて通れないものとなった。4代目スカイラインに搭載されたL20E型 直列6気筒ユニットは、電子制御燃料噴射装置を採用することで50年排ガス規制に適合したほか、NAPS(日産公害防止システム)などによって排ガスのクリーン化を推し進めた。

5代目(C210系)

19778月〜

原点を見つめ直した
「SKYLINE JAPAN」。

「日本の風土が生んだ、日本の名車」というキャッチコピーを掲げ、「ジャパン」の愛称で呼ばれた5代目は1977年にデビュー。バリエーションの拡充、装備の充実を図ると同時に、エンジンの低公害化を実現。'80年には高出力かつ低燃費を両立したターボエンジン搭載車が加わった。

ウェッジシェイプで
精悍さを前面に押し出す。

ボクシーで精悍さを感じさせた3代目のデザインコンセプトに立ち返り、エクステリアは直線基調の「ウェッジシェイプ」でスポーティにまとめられた。また、フロントフェイスが傾斜した「スラントノーズ」を採用したことも特徴。よりシンプルになったものの、サーフィンラインを受け継ぐほか、GTモデル系は4灯式丸型テールランプデザインを採用している。

ターボエンジンの搭載で
新たなGTの姿を提示。

セドリック/グロリアに搭載された国産車初のターボエンジン、L20ET型が1980年に5代目スカイラインにも組み合わされた。当時、ターボエンジンは省燃費技術として開発が進められたが、同時に排気量が小さくても高性能化が図れることにも注目が集まっており、近年のエンジンのダウンサイジングへとつながるテクノロジーであった。

6代目(R30型)

19818月〜

DOHCエンジンを搭載する
「RS」がデビュー

直線基調のクリーンなデザイン、俳優ポール・ニューマンを起用したCMが注目を集めた6代目スカイライン。直6SOHCを搭載する「GT」、直4SOHCを搭載する「TI」のほか、直4DOHCエンジンを搭載した「RS」も設定された。RSはさらにターボ仕様も追加され、レースでも活躍した。

スタイリッシュな
5ドアハッチバックを用意。

5代目を正常進化させたような印象を与えるエクステリアには、スポーティさと美しさが見事にとけ込んでいる。ラインアップには2ドアクーペと4ドアセダンのほか、スカイラインとしては初めて5ドアハッチバックを追加。積載能力よりデザイン性を優先し、テールゲートが緩やかに傾斜したクーペスタイルを採用したところが、一般的なワゴンモデルと大きく異なる。

史上最強を謳った
スカイラインはエンジンが魅力。

1981年に日産としてはGT-R以来8年振りとなるツインカム(DOHC)エンジン、FJ20E型を2000RSに搭載。さらに1983年にはFJ20E型に過給器を組み合わせた日本初のツインカム4バルブ・ターボのFJ20ET型エンジンが登場し、2000ターボRSに採用されている。190馬力を発揮する高性能ユニットを得て、「史上最強のスカイライン」と注目を浴びた。

7代目(R31型)

19858月〜

スマートさが際だつ
「都市工学スカイライン」。

洗練された高級スポーツサルーンを目指して開発された7代目。エンジンは新世代の直6DOHC、RB20型を搭載したほか、世界初の4輪操舵システム「HICAS(ハイキャス)」を採用するなど先進性が光る。4ドアセダン、ハードトップに加え、2ドアのGTSシリーズも用意された。

スカイライン初の
4ドアハードトップが登場。

人と環境への調和・共生をコンセプトにするためか、デザイン面でも洗練されたイメージを印象づける7代目は、スカイライン初の4ドアハードトップモデルをラインアップ。センターピラーサッシュを持たないスタイリッシュなエクステリアは、「都市工学スカイライン」というキャッチフレーズとも重なり合う、ソフィスティケートされた魅力にあふれていた。

世界初の4輪操舵システム
「HICAS」を搭載。

7代目スカイラインは、世界初の4輪操舵システム「HICAS(ハイキャス:High Capacity Actively Controlled Suspension)」を搭載したことが大きな技術的トピックだ。油圧作動のアクチュエーターを用いて、ステアリング操作にあわせて前輪だけでなく後輪も操舵するシステム。このほか、新たに開発されたRB20ユニットの搭載も注目を浴びた。

8代目(R32型)

19895月〜

運動性能を追求し、
コンパクトなボディへ。

ボディのダウンサイジングにより、50kg以上の軽量化に成功。新開発のマルチリンクサスペンションが採用され、セダン、ハードトップとも群を抜く運動性能を実現した。また、GT-Rも復活。2.6L直6ターボエンジンにフルタイム4輪駆動システムが組み合わされた。

「超感覚スカイライン」は
丸みを帯びて登場。

7代目までは豪華に、大きくなり続けたスカイラインだが、8代目は運転が楽しめるスポーティモデルへの原点回帰を掲げ、開発が進められた。全長は2ドアで130mm、4ドアで80mm短くなるなどコンパクト化を実現し、内外デザインも直線基調から角が取れ、丸みを帯びたものに一新。すべては運動性能を重視し、本格スポーツモデルとして生まれ変わるためだった。

マルチリンク・サスペンションなど
先進技術を満載。

GT-Rは280馬力を発揮するRB26DETTエンジンを搭載することが話題になったが、電子制御機構を盛り込んだフルタイム4WDシステムのATTESA E-TSを採用したことも注目された。4WD機構は悪路の走破性や直進安定性だけでなく、スポーツドライビングの強い味方にもなったのである。さらに前後マルチリンクサスペンション、SUPER HICASなど足まわりには先進技術が採用された。

9代目(R33型)

19938月〜

スポーツフィールに
居住性と快適性をプラス。

「卓越した走りの本流グランドツーリングカー」をコンセプトに開発が進められたR33型。スポーティさと居住性・利便性を両立すべく、ボディは2ドア/4ドアとも3ナンバー化された。エンジンは6気筒モデルのみの設定で、2.0Lと2.5Lを用意。GT-Rも遅れて追加されている。

ワイドになったボディは
3ナンバーサイズ。

室内空間の拡大、荷室容量のアップなど、さらなる快適性やゆとりを求める声に応じて、ボディをひと回り拡大した9代目スカイライン。大人っぽさや上質感が漂うエクステリアにまとめられ、全幅が広がったことで全車3ナンバーサイズとなったが、軽量化を徹底することによって、スカイラインに求められるスポーティな走りを実現している。

8代目のメカニズムをベースに
さらに熟成。

主なメカニズムは8代目スカイラインから受け継がれており、前後マルチリンクサスペンションもそのひとつ。アーム類の形状変更や、よりしなやかな動きを実現するための工夫などさまざまな改良を施し、さらなる熟成が進められている。さらに電動SUPER HICAS、アクティブLSDなど、足まわりを中心に先進テクノロジーが投入されているのも見逃せない。

10代目(R34型)

19985月〜

運転する楽しさを見直し、
よりコンパクトに。

10代目は剛性感の向上やホイールベースの短縮など、ボディの強化を図り、存在感のあるデザインを採用。エンジンは全モデル直6DOHCとなり、2.0Lと2.5Lの自然吸気、2.5Lターボを設定。マニュアルモード付ATや電動SUPER HICASなど、各部の電子制御化も図られている。

ムダのない肉体美と
強烈な存在感が融け合う。

4ドアセダン、2ドアクーペともにウェッジシェイプデザインにまとめられた10代目は、贅肉を削ぎ落としたシャープなフォルムが大きな魅力。ロングノーズ・ショートデッキのプロポーションにはスカイラインらしさが感じられるが、加えてフロントまわりの迫力のある造形など、歴代モデルを通して抜きん出た力強さもこの世代の特徴である。

運動性能を高めるために
ボディ剛性をアップ。

全長とともにホイールベースを短縮することで、痛快なドライビングフィールを追求した10代目。さらに操縦安定性や運動性能の向上を目的として採用されたのが、飛躍的に剛性を向上させた「ドライビングボディ」である。サスペンションが的確に機能し、思い通りにコントロールできるクルマをつくり出すには、しっかりした骨格が必要であるという考えのもとに開発された。

11代目(V35型)

20016月〜

世界に通用するプレミアムセダン&
クーペへ進化。

プレミアムスポーツセダンへと進化を遂げた11代目。52:48という理想的な前後重量配分を実現したシャシーには、新たに2.5L、3.0L、3.5LのV6エンジンを搭載。後に2ドアクーペも設定された。この新世代モデルは本格的な輸出が行われ、北米をはじめとする海外でも高く評価された。

ゆとりのある居住性と
流麗なプロポーションを両立。

それまで搭載されていた直列6気筒エンジンを、全長の短いV型6気筒エンジンへと変更することにより、11代目スカイラインのデザインは大きく変化した。居住性やユーティリティと運動性能を高次元で調和させ、同時に美しいプロポーションを実現している。V6エンジン採用による新しいパッケージングが生み出した、洗練されたデザインが11代目の大きな魅力なのである。

前後重量配分に優れた
FMパッケージを採用。

V6エンジンの搭載により、理想的な前後重量配分と優れた運動性能を実現する新世代「FM(フロントミッドシップ)パッケージ」を採用。同時に余裕のある室内空間も確保することができ、快適に速く走ることができるまったく新しいスカイラインが誕生した。ダイナミックかつ美しいプロポーションをもつ2ドアクーペもFMパッケージを採用する。

12代目(V36型)

200611月〜

コンセプトを受け継ぎ、
グローバルセダンとして成熟。

新世代プラットフォームや最先端の電子制御テクノロジーを採用した12代目。エンジンは2.5Lおよび3.7LのV型6気筒で、2WD車のトランスミッションは7速ATが組み合わされる。2007年にはクーペモデル、'09年にはクロスオーバーと呼ばれるSUVもラインアップに加わった。

流麗なスタイルはクーペと
セダンだけではない。

11代目同様、世界の市場を睨んで開発されたグローバルモデルである12代目スカイラインは流麗なフォルムが目を引くが、4ドアセダン、2ドアクーペのほかに、「クロスオーバー」が用意されたのがトピック。その名の通りスカイラインとしては初のクロスオーバーSUVで、5ドアハッチバックデザインを採用。スカイラインの可能性をさらに広げたモデルだ。

進化の歩みを止めない
4輪操舵技術を搭載。

11代目のFMパッケージを進化させた「新世代FR-Lプラットフォーム」を採用した12代目は、4輪アクティブステア(4WAS)の採用も注目された。ルーツを辿れば7代目のHICASに行き着くが、その技術は大きく進化。前・後輪のタイヤの切れ角を最適に制御し、取り回しのしやすさから、高い安定感とキビキビとしたコーナリングまでを実現している。

※本記事は2013年11月22日時点の情報を元に作成されております。